2017年のプロ野球ドラフトを語るうえで欠かせないのが、当時「高校野球界の二大スラッガー」と称された 清宮幸太郎(早稲田実業)と安田尚憲(履正社)の存在です。
「東の清宮、西の安田」。甲子園を沸かせ、全国の球児の憧れとなった2人は、それぞれ日本ハムとロッテに1位指名で入団。
あれから8年、2025年現在――彼らはプロの世界でどんな“現在地”に立っているのでしょうか?
清宮幸太郎・安田尚憲、プロ8年目の今
■ 清宮幸太郎の現在は?(北海道日本ハムファイターズ)
早実の“怪物”として甲子園を沸かせた清宮選手。プロ入り後は苦しみながらも、2025年には再浮上の兆しが見え始めています。
ポジション:一塁手
ドラフト:2017年 1位指名(7球団競合)
高校通算本塁打:111本(当時の新記録)
“怪物スラッガー”と呼ばれた高校時代
中学時代からすでに「怪物」と呼ばれ、早実では1年春から4番に座った逸材。
高校通算111本塁打という衝撃の記録を引っ提げ、2017年のドラフトでは7球団が競合。まさに「時の人」でした。
プロで味わった壁、そして現在
プロ入り直後は7本塁打を放ち非凡な才能を見せましたが、以降は三振の多さと打率の低さに苦しみ、スタメン定着には至らず。
ただ、地道なフォーム改造と肉体改造を積み重ね、2025年現在も一軍で出場を重ねています。
ファームでは常に好成績を残しており、調子次第では一気に一軍でも「ホームランアーティスト」として再浮上する可能性を秘めています。
■ 安田尚憲の現在は?(千葉ロッテマリーンズ)
履正社の安田選手。プロ入り後は苦しみながらも、2025年には1軍出場機会も増え、再浮上の兆しが見え始めています。
ポジション:三塁・一塁
ドラフト:2017年 1位指名(単独)
高校通算本塁打:65本
「西の清宮」―勝負強さとスケールの大きな打撃
履正社では圧倒的な長打力と勝負強さで注目され、プロでも「将来の4番打者」として大きな期待が寄せられました。
プロ入り後は主にクリーンアップ候補として育成され、一時は一軍でも4番を任されたこともあります。
停滞期を越え、2025年に見せた“光”
近年は一軍と二軍を行き来する時期が続き、「二軍の帝王」とも揶揄されましたが――
2024年にはウエスタン・リーグで本塁打王争いに加わり、飛距離と打球質に明らかな変化が。
そして2025年、ついに夏場から一軍に定着。交流戦では代打で決勝打を放つなど、印象的な活躍も見せています。
ロッテファンからは「いつ爆発するか」と長年期待されてきた存在。その“兆し”がついに見え始めた年となりました。
2025年シーズン成績の比較(2025.6.27時点)
選手 | 試合数 | 打率 | 本塁打 | 打点 | OPS |
---|---|---|---|---|---|
清宮幸太郎(日本ハム)2025 | 68G | .266 | 5HR | 26打点 | .704 |
安田尚憲(ロッテ)2025 | 33G | .248 | 0HR | 6打点 | .295 OPS/.328 OBP |
清宮:昨年より打率・本塁打とも微増、OPS.700台復帰。出場機会増で“再浮上”の兆し。
安田:一軍定着の兆し、交流戦での決勝打など“一歩先の活躍”も。出場機会が増えれば数字も伸びそう。
「プロの壁」は誰にでも立ちはだかる:8年間の成長
高校時代のスターが、必ずしもプロで即活躍できるわけではありません。
- フォーム修正と技術の再構築
- プロの変化球・スピードへの対応
- チーム事情とポジション競争
- そして「結果」を求められるプロの重圧
この8年間、清宮も安田も、順風満帆とはいきませんでした。
しかしだからこそ、いま見せている彼らの“進化”には、静かな感動が宿っています。
同世代のスターたちと、遅咲きの希望:進化する二人
同世代には、すでにプロで大きな実績を残している選手たちもいます。
- 村上宗隆(ヤクルト):2022年三冠王。日本を代表する主砲へ成長
- 伊藤大海(日本ハム):WBCでも活躍した安定感抜群の先発投手
- 中村奨成(広島):捕手としてだけでなく打撃でも存在感を見せ始めた逸材
こうした同年代の台頭と比較されながらも、清宮や安田は“遅咲きの開花”に向けて、いままさに努力を続けている段階です。
25歳という若さは、まだ未来を十分に語れる年齢――むしろ「ここからが本当の勝負」と言えるでしょう。
まとめ:スポットライトのその先にある物語
高校時代、甲子園という大舞台でスポットライトを浴びたスターたち。
そして今――プロの厳しさの中で、もがきながらも夢を追い続ける姿。
清宮幸太郎も、安田尚憲も、「高校の英雄」では終わりません。
今まさに“プロ野球選手としての物語”が動き始めています。
彼らがいつか、プロの舞台で再び輝くその日まで――
高校野球ファンも、プロ野球ファンも、その成長を見守り、応援し続けましょう。
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